インタビュー:ビクトリノックスな人々 スポーツジャーナリスト・元Jリーガー 中西哲生
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たえず自己革新、それが中西哲生スタイル

ダブルネームの
ビクトリノックスと
スイスカード

買い物ワールドカップの副題がついた近著『不安定な人生を選ぶこと』

『買い物ワールドカップ』のこと。
 ぼくがまだ現役Jリーガーだった頃、幻冬舎からWebマガジンを創刊するから何か書かないかというお話をいただきました。文章を書くことが得意だったわけではありませんが、ぼくが日頃思っていることや感じていることをそのまま赤裸々に表現すればいいと言われて、「Webマガジン幻冬舎」の連載をお引き受けしました。サッカー選手がそういうものに手を出すことに批判的な人もいて、「サッカー選手はサッカーやっていればいいんだ」という声もありましたが、その一方でおもしろいという評価もいただきました。おかげで「Webマガジン幻冬舎」では、毎回トップクラスのヒットを記録していました。それを単行本としてまとめたのが『不安定な人生を選ぶこと』(買い物ワールドカップ2000〜2003・幻冬舎刊)です。
ビクトリノックスに一目ぼれ。
 この本の中で、ぼくはいくつかのお気に入りに触れています。そのひとつがビクトリノックスです。最初に手に入れたのは5〜6年前かな。名古屋グランパスエイトに所属していた頃、買ったんです。ティファニーとビクトリノックスのダブルネーム(スイスアーミー)です。一目ぼれというか、カッコイイと思って、その場で買いました。でも、一度鍵ごとなくしちゃって、いま持っているのは二代目。そのほかにもいくつかのタイプを持っています。9.11直後に、ロンドンの空港で押収されちゃったこともあります。スーツケースに入れとけばよかったんですけど、当時の空港は、ピリピリしていましたからね。
愛用はブルーのスイスカード

気になる糸くずはこうやって…

お気に入りは、「スイスカード」。
 なかでも特に気に入っているブルーのスイスカードは、その後ミラノで買ったものです。伝統的なビクトリノックスとはまったく趣の異なる、新しさがあります。カード型でナイフのイメージとは程遠いし、重くもなく、持ち運びに便利。ぼくは、デジカメも、髭剃りも、小物はぜんぶブルーで統一しているんですよ。なぜ、ブルーかというと、絶対カラバリ(カラーバリエーション)にある色だから。どうせ持つなら、統一性があるほうがいいと思って、スイスカードも、レッド、ブラック、グリーン、ブルーの4色の中からブルーを選びました。
糸くずとりが日課に。
 あくまで機能性とスタイル。ものを選ぶときのぼくの基準といっていいかもしれません。ビクトリノックスを気に入っている理由もそれ。数あるツールの中でも、とくにハサミが重宝しています。ぼくにとって唯一のハサミは、ビクトリノックスのこのハサミです。ぼくは、洋服の糸くずを切るのが好きなんです。というか、糸くずが出ていると気になって仕方がない(笑)。大好きな服が、そこからほつれていくなんて、想像するだけで嫌なんですよ。だから、四六時中、糸くずを切っている(笑)。そこで、このハサミが手放せないのです。小さくて、ポケットにしまっておけて、すぐに出せる。その上、切れ味はびっくりするほど優れている。スケルトンになっていて、使い勝手がいい。すごいアイデアですよね。
たえず自己革新するために。
 テレビに出演するとき、スーツ以外ほとんど自前です。同じ服は基本的にテレビでは一度しか着ません。だから年間に購入する洋服はものすごい数になります。テレビの露出は、消費なんですよ。洋服というものを通して、中西哲生というものが視聴者に見透かされたら、終りだと思うんです。だからたえず自己革新していかなければならない。たかが洋服、されど洋服かな。洋服のタグや荷物の梱包などもスイスカードで解いています。ツールがひとつひとつ独立しているでしょう。かといって、ジャラジャラしない。それぞれのツールがしっかり造ってあって、発想が豊かです。これも使いやすい理由のひとつかな。ピンセットも使いますし、線を引くときも、ぼくはスイスカードを使います。
中西哲生ならではの視点を大切にすること。
 現役を引退して、いまはスポーツジャーナリストという立場でサッカーに関わっていますが、ぼくの番組を観て、視聴者の方が一人でも多くサッカーに関心を持って、スタジアムに足を運んでくれればいいと思っています。ぼくの場合、偉大なサッカー選手のようにただ「いまのプレーはすごい!」と絶叫するだけでは人を引きつけられないと思うんです。サッカー経験のない人でも「そうか」と納得できるように伝えなければいけない。そのためには現場に直接足を運んだり、選手やコーチとコミュニケーションをとって、試合の結果に一喜一憂しない、論理的で長期的な中西哲生的視点にこだわった解説を通じて、サッカーのすばらしさ、醍醐味を伝えたいということです。
Jリーグが原点。
 プロのサッカー選手を目指したのは同志社大学の2年生のとき。当時の同志社は強かったですね。スタメン11人のうち10人がJリーグに行きましたからね。ちょうどJリーグが誕生した年で、ぼくたちは1期生なんですよ。ぼくの地元、名古屋グランパスエイトからお誘いいただいたので行くことにしました。そこで5年間プレーして、その後、川崎フロンタ−レに移籍しました。ぼくが現役でプレーしていた頃に比べたら、日本のサッカーのレベルは相当上がっています。海外で活躍している選手も多いし、日本の代表は本当に強くなったと思います。それを支えているのはやはりJリーグだし、Jリーグぬきに日本のサッカーはありえないわけです。
サッカー文化ひろがりのために。
 Jリーグの下にJFL、JFLの下に関東リーグの1部・2部、そしてその下に東京の1部〜4部の組織があります。ぼく自身も、東京4部の「C.A.Real Tokyo(クラブ・アトレティコ・レアル・トキョウ)」というプロチームのオーナーの一人として、また監督兼プレイヤーとしてがんばっています。公式試合が年間10試合ほど、練習試合を含めると20試合くらいかな。河川敷グランドなどを借りてゲームをしているんですが、たとえば10年後にJリーグに昇格して、「あのチームはお父さんが高校の時代から応援しているチームだよ」と息子に自慢できる、そんなチームに育てていくのが理想です。Jリーグでなくとも県リーグの1部でもそれはすごいことなんですね。地域のサポーターに愛される地域のチームから、将来の日本の代表を背負って立つ選手が生まれ、育っていけば、多くの人がわが事のようにその選手を応援するでしょう。それがサッカー文化の裾野のひろがりということです。これからも様々な形で日本サッカー界の発展のために少しでも役に立てれば本望だと思っています。

 

ゴールへの嗅覚は現役時代と変わらない

プレーイングマネージャーとして汗をかく


もっともっとサッカーのために

中西哲生(なかにし・てつお)
1969年、愛知県生まれ。小学生のときからサッカーを始め、同志社大学サッカー部を経て名古屋グランパスエイトに入団。その後川崎フロンタ−レに移籍。2000年末に現役を引退し、スポーツジャーナリストに。日本テレビ系列「ズームイン!! SUPER」、TBS系列「NEWS23」などで活躍。Webマガジン幻冬舎「買い物ワールドカップ2」連載中。ホームページ http://www.tetsuo-n.com/
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